高野口パイルとは

パイル織、編物とは

パイル織、編物(シール織物、シールメリヤス)とは、生地の基布に毛(パイル糸)が織(編)込まれている特殊な有毛布地です。

その独特な光沢や風合い、高級感に加え、当産地では長年培われた技術によって様々な機能性、付加価値をつけることにより、国内外問わずアパレルから産業資材分野まで、幅広いジャンルで活用されています。

近年話題になっている「エコファー」も、当産地で作られているパイルファブリックの一つです。

用途紹介

当産地の生地がどのような用途で活用されているかの紹介いたします。

アパレル

紳士服・婦人服・子供服をはじめ、帽子やバッグなどのファッション小物にも使用されており、国内外問わず、ハイブランドで採用されています。

寝装寝具

パイル生地を活かした毛布・シーツ・コタツ布団・布団・ひざ掛け等に使用されています。

インテリア

金華山織や椅子張り用モケット・ソファカバー・テーブルクロス・カーテン・スリッパ・マット等に使用されています。

車輛関係

新幹線や電車、観光バス等の車輛用シート・カーマット等に使用されています。

雑貨・玩具

キッチン・トイレ用品や化粧パフ等の生活用品や、ぬいぐるみ等のおもちゃ等に使用されております。

産業資材

介護用品・ペイントローラー・各種フィルター・スポーツ関連品・人工芝・液晶テレビ関係等に使用されています。

高野口パイルの歴史

江戸時代~大正時代

繊維産地としての歴史は古く、江戸時代の木綿織物に始まり、その独特な織物は明治時代に入り、川上ネルと呼ばれ飛躍的な発展を遂げました。

そして明治初期、この地域が世界で唯一のパイルファブリック産地となったルーツである「再織(さいおり)」と呼ばれる特殊織物の製法を前田安助氏が創案し、それ以降はその生産に転換していきました。

再織とは、世界的にもチェコスロバキアやスコットランド以外に類の無い手工業的な織物であり、当時の外国商館よりカーテン、テーブルクロスなどの注文を受け、アメリカに輸出されて好評を博した特殊織物でした。

その後大正時代に入り、より新しい織物の研究が繰り返され、西山定吉氏によりシール織物が考案されて、量産可能な機械化時代に突入。昭和の始めには、ドイツから二重パイル織機が導入され、産地は戦前の最盛期を迎えました。

昭和時代

パイルの素材は当初、木綿、絹、人絹糸、羊毛が多く用いられていましたが、昭和中期には合成繊維の開発、技術進歩による織(編)機の進化(レピア織機、ラッセル機、ハイパイル機、シンカーパイル丸編み機等)、市民生活の洋風化等の時代背景も重なり、当産地も飛躍的な発展を遂げました。

そして現在

既存の用途であるアパレル、寝装品、インテリア、車両関係、雑貨、玩具等は勿論、近年は産業資材向けのパイルファブリックも開発され、更なる新規用途開発に向けて積極的に活動しています。

現場で働く「ここにしかいない職人達」の手により、先人たちが積み上げてきた「ここにしかない技術」をさらに昇華させ、時代に求められるモノづくりを、日々続けています。

生地について

再織

「再織」(シェニール織)は、一度織り上げた生地をタテに細く裁断し、モール状の糸を作ります。そのモール状の糸を、今度は横糸に使用し、再度織り上げることから、「再織」(再び織る)と呼ばれています。

他では類を見ないこの特殊織物は、明治10年に、スコットランドで製造されたシェニール織を、和歌山県高野口町の「前田安助」氏が手に入れ、苦労の末に製造方法を考案しました。

現在では、ハンカチやバッグ等のファッション雑貨や、エプロンやスリッパ、ハンドタオル等の水周り製品として、使用されています。

パイル織物

この産地のパイル織物の歴史は、昭和の初めにドイツよりW力織機を輸入したところから始まります。その後、国産W力織機、海外と技術提携した国産レピアW織機、海外レピアW織機、とその時代に開発された織機を導入して現在に至ります。

一般的な織機との違いは、横糸の導入が上下2ヶ所にあることと、織りの動きに連動して、包丁が往復に動く機能が付いていることであり、この包丁は織った生地を横糸と平行に2つに切る作業を行います。この作業によってパイル織物が生まれます。

つまり、上下面の間に糸が交差している形で、織りが完成している状態であり、その交差している部分を切ることによってパイル生地が生まれます。上下面を裏地と呼び、交差している糸をパイルと呼びます。

なお、他の織機と同じようにW織機専用のドビー、ジャガードが機械に付きます。しかしながら織っただけでは製品にはなりません。W織機以外の機械による製造されたモノと同様にこの後の多様な行程、加工により製品になります。

パイルメリヤス

当産地のメリヤス(編物)の歴史は明治40年頃までさかのぼります。大正時代には現在の主流となる、メリヤス編みにパイル糸を編みこんだ「パイルメリヤス」となり、昭和に入ると輸出産業として急成長を遂げ、現在に至ります。

また、原料や加工等により、商品に様々な機能性や付加価値を持たせることができ、近年ではエコファーと呼ばれる本物の毛皮と区別が付かないほどのリアルな商品や、リアルには無い独特な色、毛並みなど、顧客のニーズにあった独自の商品を作り出すことが可能です。

ラッセルパイル(経編)

パイル生地を作る機種はラッセル機の中でもダブルラッセルと呼ばれる機種が使われており、最大130インチ(330cm)の幅まで編むことが出来ます。通常オサ枚数は5~6枚を使い、チェーンの組合せを変えることによって組織の変更を行います。

パイル長は1.5mm~30mmまで機種によって対応可能で、当産地では16・18ゲージが使われております。また、大量生産に向く機種でもあり、コーン巻にした糸約1,000本をそのまま載せることが可能です。

また、風合いや機能性も優れており、近年では3Dの形状を使った寝装品、メッシュ構造を利用した産業資材用エアフィルター、活性汚泥法に使用する固定化担体等にも活用されています。

シンカーパイル

シンカーパイルとは、シングル丸編み機でシンカー(パイルを構成するための編み機部品)を用いて編み立てられたループ状の生地を指します。 基本的にはパイル糸とグランド糸で構成されタテヨコの伸縮性に富んだ編地です。

シンカーパイルは、そのままで仕上げたパイル素材、パイルを起毛したフリース調素材、パイル部分をシャーリングカットしたベロア素材等に大別され、その中でもコンピュータージャガードを駆使したパイル・起毛・ベロア等、素材も瀧に渡ります。

その為、使用製品も多岐に渡り、アパレルは勿論、寝装寝具では毛布、シーツ、介護用シーツ、布団側地、まくらカバー等で利用され、雑貨資材では、クッション、介護用マット、クリーナー、靴中材、帽子、小物入れ等、生活に関わる物全般で取り入れられています。

スライバーニット(ハイパイル)

様々な生地の中でも、スライバー(綿をロープ状にしたもの)をそのまま編み込むものをスライバーニットと呼びます。専用機になり、組織は天竺丸編みです。 地糸にいろいろな長さの綿を直接V字に編み込む形のため、長い毛足の生地を仕上げることが可能となり、別名ハイパイルとも言われています。

毛足は最大20cm程度まで、目付けも㎡あたり2kgまで規格できます。また、立て糸本数の少ない丸編みなので小ロット・短納期対応が可能で、素材は天然素材のウール、綿から、化繊のポリエステル、アクリル、ナイロンまであらゆる繊維を組み合わせた編み立てを行います。日本では、約50年の歴史がありますが、現在は2社のみの生産体制となっております。

毛足や目付けの生地規格を自由に行うことができ、空気を含ませながら編むことから、暖かさを求める冬のコートの身頃や附属、ボリュームがあるのに軽いエアウール調のカットソーなどに適しています。また、毛皮調のリアルな表現で、ヨーロッパでは毛皮のセカンドコートとしても広く使われています。

広巾200㎝のものづくりができますので、インテリアではマット・ラグ・カーペット、寝具ではウールを使用して敷き毛布・掛け毛布・ふとん側地などに多くの実績があります。繊維を直立させる高密度の生地作りが得意ですので無数の点で支える体圧分散を必要とするメディカル用途や、毛管現象により高い保水率、吸水率を求める産業資材用途にも適しています。また、すべての規格について4色までの柄編みができます。